流布本 補遺(総ひらがな版) 

凡例
一方流の覚一本から流布本に流伝変化する過程において、削除(脱落?)した箇所が、有り、講談社文庫では、補注で補っています。
そこには、振り仮名の無い箇所も有りますが、全て私意に付けて、総ひらがな版を作りました。 上 5箇所、下 4箇所 計 9箇所です。
記号の付け方は、流布本本文に準じますが、仮名遣い等は、本文とは不統一があります。

覚一本にも無い「秘事」は、後日公開します。 1.堂供養。 2.延喜聖代(将門序)。 3.宗論

底本
(1)(2)(3)(5)(8)(9)静嘉堂文庫蔵の古活字本(せいかどうぶんこぞうのこかつじぼん)
(4)(6)(7)東京教育大学蔵、妙覚寺旧蔵本(とうきょうきょういくだいがくぞう、みょうかくじきゅうぞうぼん)

流布本 補遺(総ひらがな版) 上

(1) 補14 P400 
巻二の八 P149L12
この¥ひと¥いまだ¥ちゆうなごん/にて¥をわせ/し¥とき、¥みのの−くに/を¥ちぎやう−し¥たまひ/し/に、¥かおう−ぐわんねん/の¥ふゆ、¥もくだい−うゑもん/の−じよう−まさとも/が¥もと/へ、¥さんもん/の¥りやう¥ひらの/の−しやう/の¥じんにん/が¥くず/を¥うつ/て¥き/たり/ける/に、¥もくだい¥さけ/に¥のみ−よひ/て、¥くず/に¥すみ/を/ぞ¥つけ/たり/ける。¥じんにん¥あくこう/に¥およぶ¥あひだ、¥さ¥な¥いは/せ/そ/とて¥さんざん/に¥りやうりやく−す。¥さる−ほど/に¥じんにん=ども¥すひやくにん¥もくだい/が¥もと/へ¥らんにふ−す。¥もくだい¥ほふ/に¥まかせ/て¥ふせぎ/けれ/ば、¥じんにん=ら¥じふ−よ−にん¥うち−ころさ/る。¥これ/に¥より¥おなじき−とし−じふいちぐわつ−みつかのひ、¥さんもん/の¥だいしゆ¥おびたたしく¥ほうき−し/て、¥こくし−なりちかの−きやう/を¥るざい/に¥しよせ/られ、¥もくだい−うゑもん/の−じよう−まさとも/を¥きんごく−せ/らる/べき/の¥よし¥そうもん−す。¥すでに¥なりちかの−きやう¥びつちうの−くに/へ¥ながさ/る/べき/にて、¥にししちでう/まで¥いで/られ/たり/し/を、¥きみ¥いかが¥おぼしめさ/れ/けん、¥なか−いつか¥あつ/て¥めし−かへさ/れ、¥さんもん/の¥たいしゆ¥おびたたしく¥じゆそ−す/と¥きこえ/しか/ども、¥おなじき−とし−しやうぐわつ−いつかのひ¥うゑもん/の−かみ/を¥けんし/て、¥けんびゐし/の−べつたう/に¥なり¥たまふ。¥その−とき¥すけかたの−きやう¥かねまさの−きやう¥こえ/られ¥たまへ/り。¥すけかた/は¥ふるおとな/にて¥をはし/き。¥かねまさの−きやう/は¥えいぐわ/の¥ひと/なり。¥けちやく/にて¥こえ/られ¥たまひ/ける/こそ¥ゐこん/なれ。¥これ/は¥さんでう=どの¥ざうしん/の¥しやう/なり。¥おなじき−さんねん−しぐわつ−じふさんにち¥じやう−にゐ/に¥じよせ/らる。¥その−とき/は¥なかのみかど−ちうなごん−むねいへの−きやう¥こえ/られ¥たまへ/り。¥あんげん−ぐわんねん−じふぐわつ−にじふしちにち、¥さきの−ちゆうなごん/より¥ごん−だいなごん/に¥あがり¥たまふ。¥ひと¥あざけつ/て¥さんもん/の¥だいしゆ/に/は¥しゆそ−せ/らる/べかり/ける/ものを/と¥まうし/ける。¥され/ども¥いま/は¥その¥ゆゑ/に/や、¥うき−め/に¥あひ¥たまへ/り。¥しんめい/の¥ばつ/も¥ひと/の¥しゆそ/も、¥とき/も¥あり¥おそき/も¥あり、¥ふどう/なる¥こと/なり。¥おなじき−みつかのひ¥だいもつ/の−うら/へ¥きやう/より¥お=つかひ¥あり/とて¥ひしめき/けり。¥

(2)補23 P405
巻四の一 P236L12
かんだちめ¥ぢん/に¥あつまつ/て、¥ふるき¥こと=ども¥せんれい/に¥まかせ/て¥おこなひ/し/に、¥べん/の−ないし¥ぎよ=けん¥とつ/て¥あゆみ−いづ。¥せいりやうでん/の¥にしおもて/にて、¥やすみちの−ちゆうじやう¥うけ−とる。¥びつちゆうの−ないし¥しるし/の−み=はこ¥とり−いづ。¥たかふさの−せうしやう¥うけ−とる。¥ないしどころ−しるし/の−み=はこ、¥こよひ/ばかり/や¥て/を/も¥かけ/ん/と¥おもひ−あへ/り/けん¥ないし/の¥こころ/の¥うち、¥さ/こそ/は/と¥おぼえ/て¥あはれ¥おほかり/ける¥なか/に、¥しるし/の−み=はこ/を/ば、¥せうなごん/の−ないし¥とり−いづ/べかり/し/を、¥こよひ¥これ/に¥て/を/も¥かけ/て/は、¥ながく¥あたらしき¥ないし/に/は¥なる/まじき¥よし¥ひと/の¥まうし/ける/を¥きき/て、¥その¥ご/に¥じし¥まうし/て¥とり−いださ/ざり/けり。¥とし¥すでに¥たけ/たり。¥ふたたび¥さかり/を¥ごす/べき/に/も¥あら/ず/とて、¥ひとびと¥にくみ−あへ/り/し/に、¥びつちうの−ないし/(と)て、¥しやうねん¥じふろくさい、¥いまだ¥いとけなき¥み/ながら、¥その¥ご/に¥わざと¥のぞみ¥まうし/て¥とり−いで/ける、¥やさしかり/し¥ためし/なり。¥つたはれ/る¥ごもつ=ども¥しなじな¥つかさつかさ¥うけ−とつ/て、¥しんてい/の¥くはうきよ¥ごでうの−だいり/へ¥わたし¥たてまつる。¥かんゐん=どの/に/は、¥ひ/の¥かげ/も¥かすか/に、¥けいじん/の¥こゑ/も¥とどまり、¥たきぐち/の¥もんじやく/も¥たえ/に/けれ/ば、¥ふるき¥ひとびと¥こころ−ぼそく¥おぼえ/て、¥めでたき¥いわい/の¥なか/に¥なみだ/を¥ながし、¥こころ/を¥いたま/しむ。¥

(3)補28 P409
巻四の二 P242L15
その−のち¥ごぜん/に¥ひとびと¥あまた¥さふらは/せ¥たまひ/て¥おん=たはぶれごと/の¥あり/し/に、¥しやうくわう¥しろき¥きぬ¥き/たる¥ないし/が¥くにつなの−きやう/に¥こころ/を¥かけ/たる/な/とて、¥わらは/せ¥おはしまし/けれ/ば、¥だいなごん¥おほき/に¥あらがひ¥まうさ/るる¥ところ/に、¥ふみ¥もち/たる¥びんぢよ/が¥まゐつ/て、¥ごでうの−だいなごん=どの/の/とて¥さし−あげ/たり。¥され/ば/こそ/とて¥まんざ¥けふ¥ある¥こと/に¥まうし−あは/れ/けり。¥だいなごん¥これ/を¥とつ/て¥み¥たまへ/ば、¥
しらなみ/の¥ころも/の¥そで/を¥しぼり/つつ¥きみ¥ゆゑ/に/こそ¥たち/も¥まはれ/ね W019¥
しやうくわう¥やさしう/こそ¥おぼしめせ、¥この¥へんじ/は¥ある/べき/ぞ/とて、¥やがて¥おん=すずり/を¥くださ/せ¥たまふ。¥だいなごん¥へんじ/に/は、¥
おもひ−やれ¥きみ/が¥おもかげ¥たつ¥なみ/の¥よせ−くる¥たび/に¥ぬるる¥たもと/を W020¥
それ/より¥びぜんの−くに¥こじま/の−とまり/に¥つか/せ¥たまふ。¥

(4)補40 P418
巻五の十一 P331L13
「ぐわんもん」
おなじき−にじふににち、¥しやうくわう¥また¥あき/の−いつくしま/へ¥ご=かう¥なる。¥さんぬる¥さんぐわつ/に/も¥ご=かう¥あり/き。¥その¥ゆゑ/に/や、¥なか−いちりやうげつ/は¥よも¥めでたう¥をさまつ/て、¥たみ/の¥わづらひ/も¥なかり/し/が、¥たかくらのみや/の¥ご=むほん/に¥よつ/て、¥また¥てんが¥みだれ/て、¥せじやう/も¥しづか/なら/ず、¥これ/に¥よつ/て¥かつうは¥てんが−せいひつ/の¥ため、¥かつうは¥せいたい−ふよ/の¥ご=きねん/の¥ため/と/ぞ¥きこえ/し。¥こんど/は¥ふくはら/より/の¥ご=かう/なり/けれ/ば、¥とそう/の¥わづらひ/も¥なかり/けり。¥てづから−みづから¥ご=ぐわんもん/を¥あそばい/て、¥せいじよ/を/ば¥せつしやう=どの¥せ/させ¥おはします。¥
けだし¥きく¥ほつしやう/の¥くも¥しづか/なり。¥じふし¥じふご/の¥つき¥たかく¥はれ/て、¥ごんげち¥ふかく、¥いちいん−いちやう/の¥かぜ¥かたはら/に¥あふぐ。¥それ¥いつくしま/の−やしろ/は、¥しやうみやう¥あまねく¥きこゆる/に/は、¥かうげん−ぶさう/の¥みぎり/なり。¥えうれい/の¥しやだん/を¥めぐる、¥おのづから¥だいじ/の¥たかく¥そばだてる/を¥あらはし、¥こかい/の¥しう/に¥およぶ。¥そら/に¥ぐぜい/の¥じんくわう/なる¥こと/を¥あらはす。¥それ¥おもんみれ/ば、¥はじめ¥ようまい/の¥み/を¥もつて、¥かたじけなく¥くわうわう/の¥くらゐ/を¥ふむ。¥いま¥けんいう/を¥れいけい/の¥ぐん/に¥もてあそん/で、¥かんばう/を¥しやさん/の¥きよ/に¥たのしむ。¥しかるに¥ひそか/に¥いつしん/の¥しやうじやう/を¥ぬきん/で、¥こたう/の¥いうし/に¥まうづ。¥ずいり/の¥もと/に¥めいおん/を¥あふぎ、¥こんねん/を¥こらし/て¥あせ/を¥ながし、¥ほうきゆう/の¥うち/に¥れいたく/を¥たる。¥その¥つげ/の¥こころ/に¥めいずる¥あり。¥なかんづく¥こと/に¥ふゐ−きんしん/の¥ご/を¥さす/に、¥もつぱら¥きか−しよしう/の¥こう/に¥あたる。¥しゆくあ¥たちまち/に¥をかし、¥なほ¥いじゆつ/の¥しるし/を¥ほどこす¥こと¥なし。¥へいけい¥しきり/に¥てんず。¥いよいよ¥しんかん/の¥むなしから/ざる¥こと/を¥しり/ぬ。¥きたう/を¥もとむ/と¥いへ/ども、¥ぶろ¥さんじ−がたし。¥しかじ¥しんぷ/の¥こころざし/を¥ぬきんで/て、¥かさねて¥とそう/の¥ぎやう/を¥くはだつ。¥ばくばく/たる¥かんらん/の¥そこ、¥りよはく/に¥ふし/て¥ゆめ/を¥やぶり、¥せいせい/たる¥びやう/の¥まへ、¥ゑんろ/に¥のぞん/で¥まなこ/を¥きはむ。¥つひに¥ふんゆ/の¥みぎん/に¥ついて、¥うやまつ/て¥しやうじやう/の¥むしろ/を¥のべ、¥しよしや−し¥たてまつる¥しきし−ぼくじ/の¥めうほふれんげきやう¥いちぶ、¥かいけつ¥にきやう、¥あみだ−はんにやしんきやう−とう/の¥きやう、¥おのおの¥いつくわん。¥てづから−みづから¥しよしや−し¥たてまつる¥こんでい/の¥だいばほん¥いつくわん、¥とき/に¥さうしよう¥さうはく/の¥かげ、¥とも/に¥ぜんり/の¥たね/を¥そへ、¥しほ¥さり¥しほ¥き/たる¥ひびき、¥そら/に¥ぼんばい¥こゑ/を¥くわす。¥ていし¥ほくけつ/の¥くも/を¥じし/て、¥はつじつ¥りやうあう/の¥おほく¥めぐる¥こと¥なし/と¥いへ/ども、¥さいかい/の¥なみ/を¥しのぐP420¥こと¥ふたたび、¥ふかく¥きえん/の¥あさから/ざる¥こと/を¥しん/ぬ。¥あした/に¥いのる¥かく¥ひとつ/に¥あら/ず、¥ゆふべ/に¥かへりする¥もの¥ちぢ/ばかり/なり。¥ただし¥そんき/の¥ききやう¥おほし/と¥いへ/ども、¥ゐんみや/の¥わうけい¥いまだ¥きか/ず、¥ぜんぢやう−ほふわう¥はじめて¥この¥ぎ/を¥のこい¥たまふ。¥でし¥せうしん¥ふかく¥その¥こころざし/を¥はこぶ。¥かの¥すうかうざん/の¥つき/の¥まへ/に/は、¥かんぶ¥いまだ¥わくわう/の¥かげ/を¥はいせ/ず、¥ほうらいどう/の¥くも/の¥そこ/に/は、¥てんせん¥むなしう¥すいしやく/の¥ちり/を¥へだつ。¥あふぎ−ねがは−く/は¥だい−みやうじん、¥ふし/て¥こふ−らく/は¥いちじようきやう、¥あらた/に¥たんき/を¥てらし/て、¥ゆいいつ/の¥げんおう/を¥たれ¥たまへ。¥ぢしよう−しねん−くぐわつ−にじふはちにち¥だいじやう−てんわう/と/ぞ¥あそばさ/れ/たる。¥

(5)補59 P428
巻六の十 P379L7
この¥だいなごん/と¥まうす/は、¥かねすけの−ちゆうなごん/より¥はち−だい/の¥ばつえう、¥さきの−うま/の−すけ−もりくに/が¥こ/なり。¥くらんど/に/だに¥なら/ず、¥しんじ/の−ざつしき/とて¥さうらは/れ/し(/が、)。¥こんゑのゐん¥ご=ざいゐ/の¥とき、¥にんぺい/の¥ころほひ、¥だいり/に¥にはか/に¥ぜうまう¥いで−き/たり。¥しゆしやう¥なんでん/に¥しゆつぎよ¥あり/しか/ども、¥こんゑ/の−つかさ¥いちにん/も¥まゐら/れ/ず、¥あきれ/て¥たた/せ¥おはしまし/たる¥ところ/に、¥この¥くにつな¥ようよ/を¥かか/せ/て¥まゐり、¥かやう/の¥とき/は、¥かかる¥み=こし/に/こそ¥めさ/れ¥さうらへ/と¥そうし/けれ/ば、¥しゆしやう¥これ/に¥めし/て¥しゆつぎよ¥あり。¥なにもの/ぞ/と¥おん=たづね¥あり/けれ/ば、¥しんじ/の−ざつしき、−ふじはらの−くにつな/と¥なのり¥まうす。¥かかる¥さかさかしき¥もの/こそ¥あれ、¥めし−つかふ/べし/と¥その−とき/の¥てんが、¥ほつしやうじ=どの/へ¥おほせ−あはさ/れ/けれ/ば、¥ご=りやう¥あまた¥たまひ/など/して、¥めし−つかは/れ/ける/ほど/に、¥おなじ¥みかど/の¥み=よ/に、¥やわた/へ¥ぎやうがう¥あり/し/に、¥にんちやう/が¥さけ/に¥よひ/て¥みづ/に¥たふれ−いり、¥しやうぞく/を¥ぬらし、¥み=かぐら/に¥ちち¥し/たり/ける/に、¥この¥くにつな、¥しんべう/に/こそ¥さうらは/ね/ども、¥にんちやう/が¥しやうぞく/は¥もた/せ/て¥さふらふ/とて、¥いちぐ¥とり−いださ/れ/たり/けれ/ば、¥これ/を¥き/て¥み=かぐら¥ととのへ¥そうし/けり。¥ほど/こそ¥すこし/も¥おし−うつり/たり/けれ/ども、¥うた/の¥こゑ/も¥すみ−のぼり、¥まひ/の¥そで¥ひやうし/に¥あひ/て¥おもしろかり/けり。¥もの/の¥み/に¥しみ/て¥おもしろき¥こと/は、¥かみ/も¥ひと/も¥おなじ¥こころ/なり。¥むかし¥あまの−いはと/を¥おし−ひらか/れ/けん¥かみよ/の¥ことわざ/まで/も、¥いま/こそ¥おぼしめし−しら/れ/けれ。¥やがて¥この¥くにつな/の¥せんぞ/に、¥やまかげの−ちゆうなごん/と¥いふ¥ひと¥おはし/き。¥その¥こ/に¥じよむ−そうづ/とて、¥ちゑ¥さいかく¥み/に¥あまり、¥とくぎやう¥ぢりつ/の¥そう¥おはし/けり。¥しやうたい/の¥ころほひ、¥くわんぺい/の−ほふわう¥おほゐがは/へ¥ご=かう¥あり/し/に、¥くわんじゆじ/の−ないだいじん−たかふぢ=こう/の¥おん=こ、¥れんぜいの−だいしやう−さだくに、¥をぐらやま/の¥あらし/に¥ゑぼし/を¥かは/へ¥ふき−いれ/られ、¥そで/にて¥もとどり/を¥おさへ¥せんかた−なく/て/ぞ¥たち/たり/ける/に、¥この¥じよむ−そうづ¥さんゑ/の¥はこ/の¥なか/より、¥ゑぼし¥ひとつ(¥とり−)いださ/れ/ける/とかや。¥かの¥そうづ/は¥ちち¥やまかげの−ちゆうなごん、¥ださい/の−だいに/に¥なつ/て、¥ちんぜい/へ¥くだら/れ/ける¥とき、¥にさい/なり/し/を、¥けいぼ¥にくみ/て、¥あからさま/に¥いだく¥やう/に/して¥うみ/に¥おとし−いれ¥ころさ/ん/と¥し/ける/を、¥しに/に/ける¥まこと/の¥はは、¥ぞんじやう/の¥とき、¥かつら/の¥うがひ/が¥う/の¥ゑ/に¥せ/ん/とて、¥かめ/を¥とつ/て¥ころさ/ん/と¥し/ける/を、¥P429
き¥たまへ/る¥こ−そで/を¥ぬぎ、¥かめ/を¥はなた/れ/たり/し/が、¥その¥おん/を¥ほうぜ/ん/と、¥この¥わかぎみ/を¥おとし−いれ/ける/を、¥みづ/の¥うへ/に¥うかび−き/て、¥かう/に¥のせ/て/ぞ¥たすけ/たり/ける。¥それ/は¥じやうだい/の¥こと/なれ/ば¥いかが¥あり/けん、¥まつだい/に¥くにつなの−きやう¥かうみやう¥あり−がたき¥こと=ども/なり。¥ほつしやうじ=どの/の¥み=よ/に¥ちゆうなごん/に¥なる。¥ほつしやうじ=どの¥かくれ/させ¥たまひ/て¥のち、¥にふだう−しやうこく¥ぞんずる¥むね¥あり/とて、¥この¥ひと/に¥かたらひ−より¥たまへ/り。¥だいふく−ちやうじや/にて¥おはし/けれ/ば、¥なん/で/も¥かならず¥まいにち/に¥いつしゆ/を/ば¥にふだう−しやうこく/の¥もと/へ¥おくら/れ/けり。¥げんぜ/の¥とくい¥この¥ひと/に¥すぐ/べから/ず/とて、¥しそく¥いちにん¥やうじ/に¥し/て、¥きよくに/と¥なのら/る。¥また¥にふだう−しやうこく/の¥しなん、¥ちゆうなごん−しげひら/は、¥かの¥だいなごん/の¥むこ/なり。¥ぢしよう−しねん/の¥ごせつ/は¥ふくはら/にて¥おこなは/れ/ける/に、¥てんじやうびと、¥ちゆうぐう/の¥おん=かた/へ¥すいさん¥あり/し/が、¥ある¥うんかく/の¥たけ¥しやうほ/に¥まだら/なり/と¥いふ¥らうゑい/を¥せ/られ/たり/けれ/ば、¥この¥だいなごん¥たちぎき−し/て、¥あな¥あさまし、¥これ/は¥きんき/と/こそ¥うけたまはれ。¥かかる¥こと=ども¥きか/じ/とて、¥ぬきあし−し/て¥のがれ−いで/られ/ぬ。¥たとへば¥この¥らうゑい/の¥こころ/は、¥むかし¥げう/の¥みかど/に¥ににん/の¥ひめみや¥ましまし/き。¥あね/を¥がくわう/と¥いひ、¥いもうと/を¥じよゑい/と¥いふ。¥とも/に¥しゆん/の¥きさき/の¥な/なり。¥しゆん/の¥みかど¥かくれ¥たまひ/て¥のち、¥さうご/の¥のべ/へ¥おくり¥たてまつり¥けぶり/と¥なし¥たてまつる¥とき、¥ににん/の¥きさき¥なごり/を¥をしみ¥たてまつり、¥しやうほ/と¥いふ¥ところ/まで¥したひ/つつ¥なき−かなしみ¥たまひ/し/に、¥その¥なみだ¥きし/の¥たけ/に¥かかり/て、¥まだら/に/ぞ¥そめ/たり/ける。¥その−のち/も¥つね/に/は¥かの¥ところ/に¥おはし/て、¥こと/を¥ひき/て¥なぐさみ¥たまへ/り。¥いま¥かの¥ところ/を¥み/けれ/ば、¥きし/の¥たけ/は¥まだら/にて¥たち/けり。¥こと/を¥しらべ/し¥あと/に/は¥くも¥たなびい/て、¥もの−あはれ/なる¥こころ/を、¥きつ−しやうこう/の¥ふ/に¥つくれ/る/なり。¥この¥だいなごん/は、¥させる¥もんざい¥しいか¥うるはしう¥おはせ/ざり/しか/ども、¥かかる¥さかしき¥ひと/にて¥かやう/の¥こと/まで/も¥きき−とがめ/られ/ける/に/こそ。¥この¥ひと¥だいなごん/まで/は¥おもひ/も¥よら/ざり/し/を、¥ははうへ¥かもの−だい−みやうじん/に¥あゆみ/を¥はこび、¥ねがは−く/は¥わが¥こ/の¥くにつな¥いちにち/で/も¥さぶらへ、¥くらんど/の−とう¥へ/させ¥たまへ/と、¥ひやくにち¥かんたん/を¥くだい/て¥いのり¥まうさ/れ/ける/が、¥ある¥よ/の¥ゆめ/に¥びりやう/の¥くるま/を¥ゐ/て¥き/て、¥わが¥いへ/の¥くるまよせ/に¥たつ/と(¥いふ)¥ゆめ/を¥み/て、¥これ/を¥ひと/に¥かたり¥たまへ/ば、¥それ/は¥くぎやう/の¥きたのかた/に¥なら/せ¥たまふ/べき/に/こそ/と、¥あはせ/たり/けれ/ば、¥わが¥とし¥すで/に¥たけ/たり、¥いまさら¥さやう/の¥ふるまひ¥ある/べし/と/も¥おぼえ/ず/と¥のたまひ/ける/が、¥おん=こ/の¥くにつな¥くらんど/の−とう/は¥こと/も¥よろし、¥じやう−にゐ−だいなごん/に¥のぼり¥たまふ/こそ¥めでたけれ。¥

流布本 補遺(総ひらがな版) 下

(6)補33 P387
巻十一の十二 P290L11
「けんのさた」(『けん』)S1112¥P388¥ほんてう/に/は¥じんだい/より¥つたはれ/る¥れいけん¥みつ¥あり。¥とづか/の−けん、¥あまの−はやきり/の−けん、¥くさなぎ/の−けん¥これ/なり。¥とづか/の−けん/を/ば、¥やまとの−くに¥いそのかみふるのやしろ/に¥をさめ/らる。¥あまの−はやきり/の−けん/は、¥をはりの−くに¥あつた/の−やしろ/に¥あり/とかや。¥くさなぎ/の−けん/は¥だいり/に¥あり。¥いま/の¥ほうけん¥これ/なり。¥これ/は、いちはやう¥おはします。¥そもそも¥この¥けん/の¥ゆらい/を¥まうす/に、¥むかし¥そさのをのみこと、¥いづもの−くに¥そが/の−さと/に¥みやづくり−し¥たまひ/し/に、¥その¥ところ/に¥やいろ/の¥くも¥つね/に¥たち/けれ/ば、¥みこと¥これ/を¥ごらん−じ/て、¥かう/ぞ¥ゑいじ¥たまひ/ける。¥
やぐも¥たつ¥いづも¥やへがき¥つまごめ/に¥やへがき¥つくる¥その¥やへがき/を W088
¥これ/を¥さんじふいちじ/の¥はじめ/と¥す。¥くに/を¥いづも/と¥なづくる¥こと/も、¥すなはち¥この¥ゆゑ/と/ぞ¥きこえ/し。¥むかし、¥そさのをのみこと、¥いづもの−くに¥ひのかはかみ/に¥くだり¥たまひ/し¥とき、¥くにつのかみ/に、¥てなづち、¥あしなづち/とて、¥ふうじん¥ふじん¥おはし/き。¥かれ/に¥たんじやう/の¥むすめ¥あり。¥いなだひめ/と¥かうす。¥おやこ¥さんにん¥なき−ゐ/たり。¥みこと¥ふしぎ/に¥おぼしめし/て、¥そもそも¥なんぢ/は¥いか/なる¥もの/ぞ/と¥おほせ/けれ/ば、¥われ/に¥はちにん/の¥むすめ¥あり。¥みな¥だいじや/の¥ため/に¥のま/れ/ぬ。¥いま¥いちにん¥のこる¥ところ/の¥せうぢよ、¥また¥のま/れ/ん/と¥す。¥くだん/の¥だいじや/は、¥を¥かしら¥とも/に¥やつ¥あり。¥おのおの¥やつ/の¥みね¥やつ/の¥たに/に¥はひ−はびこれ/り。¥れいじゆ¥れいぼく¥せなか/に¥おひ/たり。¥いくせんねん/を¥へ/たり/と¥いふ¥かず/を¥しら/ず。¥まなこ/は¥じつげつ/の¥ひかり/の/ごとし。¥ねんねん/に¥ひと/を¥のむ。¥おや¥のま/るる¥もの/は¥こ¥かなしみ、¥こ¥のま/るる¥もの/は、¥おや¥かなしむ。¥そんなん¥そんぼく/に¥こくする¥こゑ¥たえ/ず/と/ぞ¥まうし/ける。¥みこと¥あはれ/に¥おぼしめし/て、¥くだん/の¥せうぢよ/を¥ゆつ/の−つまぐし/に¥とり−なさ/せ¥おはしまし、¥おん=ぐし/に¥さし−かくさ/せ¥たまひ/て、¥やつ/の¥ふね/に¥さけ/を¥たたへ、¥びぢよ/の¥すがた/を¥つくつ/て、¥たかき¥をか/に¥たつ。¥その¥かげ¥さけ/に¥うつれ/り。¥だいじや¥ひと/と¥おもう/て¥その¥かげ/を¥あくまで¥のう/で、¥ゑひ¥ふし/たる¥ところ/を、¥みこと¥はき¥たまへ/る¥とづか/の−けん/を¥ぬか/せ¥たまひ/て、¥くだん/の¥だいじや/を¥づたづた/に¥きり¥たまふ。¥その¥なか/に¥ひとつ/の¥を/に¥いたつ/て¥きれ/ず。¥みこと¥あやし/と¥おぼしめし/て、¥たてざま/に¥わつ/て¥ごらんずれ/ば、¥ひとつ/の¥れいけん¥あり。¥すなはち¥これ/を¥とつ/て、¥てんせうだいじん/へ¥まゐらつ/させ¥たまひ/たり/けれ/ば、¥これ/は¥むかし、¥たかまのはら/にて、¥わが¥おとし/たり/し¥けん/なり/と/ぞ¥おほせ/ける。¥だいじや/の¥を/の¥なか/に¥あり/ける/ほど/は、¥むらくも¥つね/に¥たち/けれ/ば、¥あまの−むらくも/の−けん/と/ぞ¥めさ/れ/ける。¥おほんかみP389¥これ/を¥え/て、¥あめ/の−みかど/の¥み=たから/と¥し¥たまふ。¥その−のち¥とよあしはら−なかつくに/の¥あるじ/と¥なつ/て、¥あめみま/を¥くだし¥たてまつら/せ¥たまひ/し¥とき、¥この¥けん/を/も¥み=かがみ/に¥そへ/て¥さづけ¥まゐらつ/させ¥たまひ/けり。¥さて¥だい−く−だい/の¥みかど、¥かいくわ−てんわう/まで/は、¥ひとつ¥てん/に¥ましまし/ける/を、¥だい−じふ−だい/の¥みかど、¥すじん−てんわう/の¥ぎよ=う/に¥およん/で、¥れいゐ/に/ぞ¥おそれ¥まゐらつ/させ¥たまひ/て、¥てんせうだいじん/を¥やまとの−くに¥(かさぬひ/の−さと)¥いそがき/の¥ひろき/に¥うつし¥まゐらつ/させ¥たまひ/し¥とき、(¥この¥けん/を/も、¥てんせうだいじん/の¥しやだん/に¥こめ¥たてまつら/せ¥たまひ/けり。)¥その−とき¥けん/を¥つくり−かへ/て、¥いま/の¥みかど/の¥み=たから/と¥し¥たまふ。¥ご=れいゐ¥もと/の¥けん/に¥おとら/ず。¥さて¥だい−じふ−だい/の¥みかど、¥すじん−てんわう/より¥けいかう−てんわう/まで¥さん−だい/は、¥てんせうだいじん/の¥しやだん/に¥あがめ¥たてまつら/れ/たり/し/を¥だい−じふに−だい/の¥みかど、¥けいかう−てんわう/の¥ぎよ=う¥しじふねん−ろくぐわつ/に、¥とうい¥ほんぎやく/の¥あひだ、¥み=こ¥やまとたけのみこと/は、¥み=こころ/も¥かう/に、¥おん=ちから/も¥すぐれ/て¥ましまし/けれ/ば、¥せいせん/に¥あひ−あたつ/て、¥あづま/へ¥くだり¥たまひ/し¥とき、¥てんせうだいじん/へ¥おん=いとま¥まうし/に¥まゐらせ¥たまひ/たる/に、¥おん=いもうと/の¥いつきの−みこと/を¥もつて、¥つつしん/で¥おこたる¥こと¥なかれ/とて、¥れいけん/を¥さづけ¥まゐらつ/させ¥たまひ/けり。¥さて¥するがの−くに/に¥くだり−つき¥たまひ/たり/しか/ば、¥その¥ところ/の¥ぞくと=ら、¥この¥くに/に/は¥しし¥おほう¥さうらふ。¥かり−し/て¥あそばせ¥たまへ/とて、¥みこと/を¥たばかり−いだし¥たてまつり、¥の/に¥ひ/を¥かけ/て、¥みこと/を¥すでに¥やき−ころし¥たてまつら/ん/と¥す。¥みこと¥はき¥たまへ/る¥れいけん/を¥ぬか/せ¥たまひ/て、¥くさ/を¥なぎ¥たまへ/ば、¥はむけ¥いちり/が¥あひだ/は、¥くさ¥みな¥ながれ/ぬ。¥それ/より/して/こそ、¥あまの−むらくも/の−けん/を/ば¥くさなぎ/の−けん/と/は¥めさ/れ/けれ。¥みこと¥また¥ひ/を¥はなた/せ¥たまへ/ば、¥かぜ¥たちまち/に¥いぞく/の¥かた/に¥ふき−おほひ、¥けうど=ら¥みな¥やけ−じに/ぬ。¥それ/より¥なほ¥おく/へ¥せめ−いら/せ¥たまひ/て、¥さんかねん/が¥あひだ/に、¥くにぐに¥ところどころ/の¥ぞくと/を¥みな¥せめ−ほろぼし、¥けうたう/を¥おほく¥いけどり/て¥のぼら/せ¥たまひ/し/が、¥みち/より¥ごなう¥つか/せ¥たまひ/て、¥おん=とし¥さんじふ/と¥まうす¥しちぐわつ/に、¥をはりの−くに¥あつた/の¥へん/にて、¥つひに¥かくれ/させ¥たまひ/ぬ。¥その¥おん=たましひ/は、¥しろき¥とり/と¥なつ/て、¥てん/に¥あがり/ける/こそ¥ふしぎ/なれ。¥さて¥いけどり/の¥えびす=ども/を/ば、¥み=こ¥たけひこのみこと/を¥もつて、¥みやこ/へ¥まゐら/させ¥たまひ/けり。¥くさなぎ/の−けん/を/ば¥あつた/の−やしろ/に¥をさめ/らる。¥あめの−みかど/の¥ぎよ=う、¥しちねん/に、¥しんら/の¥しやもん−だうぎやう、¥この¥けん/を¥ぬすん/で¥わが¥くに/の¥たから/と¥せ/ん/と¥おもう/て、¥ひそか/に¥ふね/に¥かくし/て¥わたる/ほど/に、¥ふうは¥きよどう−し/て、¥この¥ふね/を¥たちまち/に¥かいてい/に¥しづめ/ん/と¥す。¥すなはちP390¥れいけん/の¥たたり/なり/と¥しつ/て、¥つみ/を¥しやし/て¥せんど/を¥とげ/ず、¥もと/の/ごとく/に¥かへし−をさめ¥たてまつる。¥しかる/を¥てんち−てんわう/の¥ぎよ=う、¥しゆてう−ぐわんねん/に¥これ/を¥めし/て¥だいり/に¥おか/る。¥いま/の¥ほうけん¥これ/なり。(¥ご=れいゐ¥いちはやう¥まします。)¥やうぜいゐん¥きやうびやう/に¥をかさ/れ/させ¥たまひ/て、¥れいけん/を¥ぬか/せ¥たまひ/たり/けれ/ば、¥よる/の−おとど¥ひらひら/と/して¥でんくわう/に¥おとら/ず、¥くふ/の¥あまり、¥なげ−すて/させ¥たまひ/たり/けれ/ば、¥はた/と¥なつ/て¥みづから¥さや/に¥ささ/れ/ぬ。¥しやうこ/に/は¥かう/こそ¥めでたう¥おはせ/しか。¥たとひ¥にゐ=どの¥こし/に¥さい/て、¥うみ/に¥しづみ¥たまふ/とも、¥さう−なう¥うす/べき/に¥あら/ず/とて、¥すぐれ/たる¥あまうど=ども/を¥めし−あつめ/て、¥かづき−もとめ/させ/られ/けれ/ども、¥なかり/けれ/ば、くぎやう−せんぎ¥あり/けり。(¥れいぶつ¥れいしや/に¥たつとき¥そう/を¥こめ、¥しゆじゆ/の¥じんぽう/を¥ささげ/て¥いのり¥まうさ/れ/けれ/ども、¥つひに¥うせ/に/けり。¥その−とき/の¥ゆうしき/の¥ひとびと¥まうし−あは/れ/ける/は、)¥むかし¥てんせうだいじん、¥はくわう/を¥まぼら/ん/と¥おん=ちかひ¥あり/ける¥その¥おん=ちかひ、¥いまだ¥あらたまら/ず/して、¥いはしみづ/の¥ながれ¥つきせ/ざる/が¥ゆゑ/に、(¥てんせうだいじん/の)¥にちりん/の¥ひかり¥いまだ¥ち/に¥おち¥たまは/ず。¥たとひ¥まつだい¥げうき/なり/とも、¥ていうん/の¥きはまる/まで/の¥こと/は¥あら/じ/かし/なんど¥まうし−あは/れ/けり。をりふし¥ある¥はかせ/の¥き/たり/ける/が¥まうし/ける/は、¥むかし¥いづもの−くに¥ひのかはかみ/にて、¥そさのをのみこと/に¥きり−ころさ/れ¥たてまつ/たる¥だいじや、¥れいけん/を¥をしむ¥こころざし¥ふかう/して、¥やつ/の¥かしら、¥やつ/の¥を/を¥へうじ/と/して、¥にんわう¥はちじふ−だい/の¥のち、¥はつさい/の¥てい/と¥なつ/て(¥れいけん/を)¥とり−かへし¥たてまつ/たる/に/こそ、¥ちいろ/の¥うみ/の¥そこ、¥しんりう/の¥たから/と¥なり/しか/ば、¥ふたたび¥にんげん/に¥かへら/ざる/も¥ことわり/かな/と/ぞ¥まうし/ける。¥

(7)補34 P390
巻十一の十四 P293L17
「かがみのさた」(『かがみ』)S1114¥おなじき−にじふはちにち、¥かまくら=どの¥じゆ−にゐ−し¥たまふ。¥をつかい/とて¥にかい/を¥する/だに¥あり−がたき¥てうおん/なる/に、¥これ/は¥すでに¥さんがい/なり。P391¥さんゐ/を/こそ¥し¥たまふ/べき/なれ/ども、¥へいけ/の¥なり¥たまひ/し/を¥いまう/て/なり。¥その¥よ/の¥ね/の−こく/に、¥ないしどころ、−しるし/の−み=はこ¥だいじやうぐわん/の¥ちやう/より¥うんめいでん/へ¥いら/せ¥おはします。¥しゆしやう¥やがて¥ぎやうがう¥あつ/て、¥さんかよ¥りんじ/の¥み=かぐら¥あり。¥うこんのしやうげん−をふの−よしかた、¥べつちよく/を¥うけたまはつ/て、(¥いへ/に¥つたはれ/る)¥ゆだちみやうど/と¥いふ¥かぐら/の¥ひきよく¥つかまつ/て、¥けんじやう¥かうぶり/ける/こそ¥めでたけれ。¥この¥うた/は、¥そぶ¥はつでう/の−はうぐわん−すけただ/と¥いふ¥れいじん/の¥ほか/は、¥しれ/る¥もの¥なし。¥あまり/に¥ひし/て、¥わが¥こ/の¥ちかかた/に/も¥をしへ/ず/して、¥ほりかはの−てんわう¥ご=ざいゐ/の¥おん=とき、¥つたへ¥まゐらせ/て¥しきよ−し/たり/し/を、¥きみ¥ちかかた/に¥をしへ/させ¥おはします。¥いへ/を¥うしなは/じ/と¥おぼしめさ/れ/ける¥おん=こころざし、¥かんるい¥おさへ−がたし。¥そもそも¥この¥ないしどころ/と¥まうす¥み=かがみ/は、¥むかし¥てんせうだいじん、¥あまの−いはと/に¥とぢ−こもら/ん/と¥せ/させ¥たまひ/し¥とき、¥いか/に/も−し/て¥わが¥すがた/を¥うつし−おき¥まゐらせ/て、¥ご=しそん/に¥みせ¥たてまつら/ん/とて、¥み=かがみ/を¥ゐ¥たまへ/り。¥これ¥み=こころ/に¥あは/ず/とて、¥また¥い−かへ/させ¥おはします。¥さき/の¥み=かがみ/は¥き(い)の−くに¥にちぜん¥こつけ/の−やしろ¥これ/なり。¥のち/の¥み=かがみ/を/ば、¥み=こ¥あまのにいほみのみこと/に¥さづけ¥まゐらつ/させ¥たまふ/とて、¥てん/を/ば¥おなじう−し/て¥すみ¥たまへ/と/ぞ¥おほせ/ける。¥さて¥てんせうだいじん、¥あまの−いはと/に¥とぢ−こもら/せ¥たまひ/て、¥てんが¥くらやみ/と¥なり/たり/しか/ば、¥やほよろづよ/の−かみ=だち、¥かみ−あつまり/に¥あつまつ/て、¥いはと/の¥くち/にて、¥み=かぐら/を¥そうし¥たまひ/しか(/ば)、¥てんせうだいじん¥かん/に¥たへ/させ¥たまは/ず/して、¥いはと/を¥ほそめ/に¥あけ/て、ごらんぜ/られ/ける/に、¥たがひ/に¥かほ/の¥しろく¥みえ/ける/より/して、¥おもしろし/と¥いふ¥ことば(/は)¥はじまり/ける/と/ぞ¥きこえ/し。¥その−とき¥みこと¥こやねたぢからを/と¥いふ、¥だい−ぢから/の¥かみ¥よつ/て、¥ゑい/と¥いひ/て、¥いはと/を¥あけ¥たまひ/て/より、¥たて/られ/ず/と¥いへ/り。¥さて(¥ないしどころ/は、)¥だい−く−だい/の¥みかど、¥かいくわ−てんわう/まで/は、¥ひとつ¥てん/に¥ましまし/ける/を、¥だい−じふ−だい/の¥みかど、¥すじん−てんわう/の¥ぎよ=う、ろくねん/に¥およん/で、¥れいゐ/に¥おそれ¥まゐらつ/させ¥たまひ/て、¥てんせうだいじん/を¥やまとの−くに¥いそがき/の¥ひろき/に¥うつし¥まゐらつ/させ¥たまひ/し¥とき、この¥み=かがみ/も¥べつ/の¥てん/に¥うつし/て、ちかごろ/は¥うんめいでん/に/ぞ¥ましまし/ける。¥せんと¥せんがう/の¥のち、¥ひやくろくじふねん/を¥へ/て、¥むらかみの−てんわう/の¥ぎよ=う、¥てんとく−しねん−くぐわつ−にじふさんにち/の¥よ/の¥ね/の−こく/に、¥おほうち(たいだい?)¥なか/の−べ/に¥はじめて¥ぜうまう¥あり/き。¥ひ/は¥さゑもん/の¥ぢん/より¥いで/たれ/ば、¥ないしどころ/の¥おはします、¥うんめいでん/も¥ほど−ちかし。¥によほうやはん/のP392¥こと/なれ/ば、¥ないし/も¥によくわん/も¥まゐり−あは/ず/して、¥ないしどころ/を¥いだし¥たてまつる/に¥およば/ず、すでに¥あやふく¥みえ/させ¥たまふ/に、¥をののみや=どの(¥いそぎ¥まゐらせ¥たまひ/て、)¥ないしどころ¥すでに¥やけ/させ¥たまひ/ぬ。¥よ/は¥いま/は¥かう/に/こそ/と¥おぼしめし/て、いそぎ¥まゐらせ¥たまひ/て、¥いだし−まゐらせ/ん/と¥せ/させ¥たまふ/に、¥ないしどころ/は、¥みづから¥ほのほ/の¥なか/より¥とび−いで/させ¥たまひ/て、¥なんでん/の¥さくら/の¥こずゑ/に¥かから/せ¥たまひ/て、¥くわうみやう¥かくやく/と/して、¥あした/の¥ひ/の¥やま/の−は/を¥いづる/に¥こと/なら/ず、¥をののみや=どの、¥よ/は¥いまだ¥つきせ/ざり/けり/と¥おぼしめし/て、¥よろこび/の¥なみだ¥せき−あへ/させ¥たまは/ず、¥みぎ/の¥ひざ/を¥つき、¥ひだん/の¥そで/を¥ひろげ/て、¥なくなく¥まうさ/せ¥たまひ/ける/は、¥むかし¥てんせうだいじん¥はくわう/を¥まぼら/ん/と¥おん=ちかひ¥あり/ける、¥その¥おん=ちかひ(¥いまだ)¥あらたまら/ず/は、¥しんきやう¥さねより/が¥そで/に¥たち−やどら/せ¥たまへ/と¥まうさ/せ¥たまひ/ける¥おん=ことば/の¥いまだ¥おはら/ざる¥さき/に、¥しんきやう¥とび−うつら/せ¥おはします。¥すなはち¥おん=そで/に¥つつん/で、¥だいじやうぐわん/の¥あいたんどころ/へ¥わたし¥たてまつら/る。(¥ちかごろ/は¥うんめいでん/に¥おはします。)¥この−よ/に/は¥うけ−とり¥たてまつら/ん/と¥おもひ−よる¥ひと/も、¥たれ/かは¥ある/べき。¥しんきやう/も¥また¥やどら/せ¥たまふ/べから/ず。¥じやうだい/こそ¥なほ/も¥めでたけれ。¥

(8)補36 P393
巻十二の八 P346L11
さる−ほど/に¥ほうでうの−しらう¥ろくだい−ごぜん¥ぐし¥たてまつ/て¥くだり/ける/に、¥かまくら=どの/の¥お=つかひ¥かがみ/の−しゆく/にて¥ゆき−あう/たり/ける/に、¥いか/に/と¥とひ¥たまへ/ば、¥じふらう−くらんど=どの、¥しだの−さぶらう−せんじやう=どの¥くらう−はうぐわん=どの/に¥どうしん/の¥よし¥きこえ¥さうらふ。¥うち¥たてまつれ/と/の¥ご=きそく/で¥さうらふ/と¥まうす。¥ほうでう¥わが−み/は¥だいじ/の¥めしうど¥ぐし/たれ/ば/とて、¥をひ/の¥ほうでうの−へいろく−ときさだ/が¥おくり/に¥くだり/ける/を、¥おいそ/の−もり/より、¥とく¥わ=との/は¥かへつ/て、¥この¥ひとびと/の¥おはしどころ¥きき−いだし/て¥うつ/て¥まゐらせよ/とて¥とどめ/らる。¥へいろく¥みやこ/に¥かへつ/て¥たづぬる/ほど/に、¥じふらう−くらんど=どの/の¥ざいしよ¥しつ/たり/と¥いふ¥ほふし¥いで−き/たり。¥かの¥そう/に¥たづぬれ/ば、¥われ/は¥くはしく¥しら/ず。¥しつ/たり/と¥いふ¥そう/こそ¥あれ/と¥いひ/けれ/ば、¥おし−よせ/て¥かの¥そう/を¥からめ−とる。¥これ/は¥なん/の¥ゆゑ/に¥からむる/ぞ。¥じふらう−くらんど=どの/の¥ざいしよ¥しつ/た/なれ/ば¥からむる/なり。¥さら/ば¥をしへよ/と/こそ¥いは/め、¥さう−なう¥からむる¥こと/は¥いか/に。¥てんわうじ/に/と/こそ¥きけ。¥さら/ば¥じんじ¥よせよ/とて、¥へいろく/が¥むこ/の¥をがさはらの−じふらう−くにひさ、¥うゑはらの−くらう、¥くはばら−のじらう、¥はつとりの−へいろく/を¥さき/と/して、¥その¥せい¥さんじふ−よ−き、¥てんわうじ/へ¥はつかう−す。¥じふらう−くらんど/の¥しゆく/は¥ふたところ¥あり。¥たに/の−がくとう¥れいじん−かねはる、¥しんろく¥しんしち/と¥いふ¥もの/の¥もと/なり。¥ふたて/に¥つくつ/て¥おし−よせ/たり。¥じふらう−くらんど/は¥かねはる/が¥もと/に¥おはし/ける/が、¥もののぐ−し/たる¥もの/の¥うち−いる/を¥み/て¥うしろ/より¥おち/に/けり。¥がくとう/が¥むすめ¥ににん¥あり。¥とも/に¥くらんど/の¥おもひもの/なり。¥これ=ら/を¥とらへ/て¥くらんど/の¥ゆく−すゑ/を¥たづぬれ/ば、¥あね/は¥いもうと/に¥とへ/と¥いふ。¥いもうと/は¥あね/に¥とへ/と¥いふ。¥にはか/に¥おち/ける¥こと/なれ/ば、¥たれ/に¥とひ/て/も¥よも¥しら/ず。¥され/ども¥ぐし/て¥きやう/へ/ぞ¥のぼり/ける。P394¥
くらんど/は¥くまの/の¥かた/へ¥おち/ける/が、¥ただ¥いちにん¥つい/たり/ける¥さぶらひ、¥あし/を¥やみ/けれ/ば、¥いづみの−くに¥やぎ/の−がう/と¥いふ¥ところ/に¥とうりう−し/て/こそ¥ゐ/たり/けれ。¥かの¥いへぬし/の¥をとこ、¥くらんど/を¥み−しつ/て、¥よ/も−すがら¥きやう/へ¥はせ−のぼり、¥ほうでう−へいろく/に¥つげ/たり/けれ/ば、¥てんわうじ/の¥て/の¥もの/は¥いまだ¥のぼら/ず。¥たれ/を/か¥つかはす/べき/とて、¥だいげんじ−むねはる/と¥いふ¥らうどう/を¥よう/で、¥なんぢ/が¥みや¥たて/たり/し¥さんぞう/は¥いまだ¥ある/か。¥あり¥さうらふ。¥さら/ば¥よべ/とて¥よば/れ/けれ/ば、¥くだん/の¥ほふし¥いで−き/たり。¥じふらう−くらんど/の¥まします/を¥うつ/て¥かまくら=どの/に¥まゐらせ/て¥ご=おん¥かうぶり¥たまへ/と¥いひ/けれ/ば、¥うけたまはり¥さうらひ/ぬ。¥ひと/を¥たび¥さうらへ/と¥まうす。¥やがて¥だいげんじ¥くだれ。¥ひと/も¥ない/に/とて、¥とねり¥ざふしき¥にんじゆ¥わづか/に¥じふしごにん¥あひ−そへ/て¥つかは/す。¥ひたち−ばう−しやうめい/と¥いふ¥もの/なり。¥いづみの−くに/に¥くだり−つき、¥かの¥いへ/に¥はしり−いつ/て¥みれ/ども¥なし。¥いたじき¥うち−やぶつ/て¥さがし、¥ぬりごめ/の¥うち/を¥みれ/ども¥なし。¥ひたち−ばう¥おほち/に¥たつ/て¥みれ/ば、¥ひやくしやう/の¥つま/と¥おぼしく/て、¥おとなしき¥をうな/の¥とほり/ける/を¥とらへ/て、¥この¥へん/に¥あやしばう/たる¥たびびと/の¥とどまり/たる¥ところ/や¥ある。¥いは/ず/は¥きつ/て¥すて/ん/と¥いへ/ば、¥ただいま¥さがさ/れ¥さぶらひ/つる¥いへ/に/こそ、¥よべ/まで¥よ/に¥じんじやう/なる¥たびびと/の¥ににん¥とどまつ/て¥さぶらひ/つる/が、¥けさ/など¥いで/て¥さぶらふ/やらん。¥あれ/に¥みえ¥さぶらふ¥おほや/に/こそ、¥いま/は¥さぶらふ/なれ/と¥いひ/けれ/ば、¥ひたち−ばう、¥くろかは−をどし/の−はらまき/の¥そで¥つけ/たる/に、¥おほ−だち¥はい/て、¥かの¥いへ/に¥はしり−いつ/て¥みれ/ば、¥とし¥ごじふ/ばかり/なる¥をのこ/の、¥こんぢ/の−ひたたれ/に¥をり−ゑぼし¥き/て、¥からへいじ¥くわし/など¥とり−さばくり、¥てうし=ども¥もつ/て¥さけ¥すすめ/ん/と¥する¥ところ/に、¥もののぐ−し/たる¥ほふし/の¥うち−いる/を¥み/て、¥かい−ふい/て¥にげ/けれ/ば、¥やがて¥つづい/て¥おつ−かけ/たり。¥くらんど、¥あの¥そう、¥や、¥それ/は¥あら/ぬ/ぞ。¥ゆきいへ/は¥ここ/に¥あり/と¥のたまへ/ば、¥はしり−かへつ/て¥みる/に、¥しろい¥こ−そで/に¥おほくち/ばかり¥き/て、¥ひだり/の¥て/に/は¥こがね−づくり/の−こ−だち/を¥もち、¥みぎ/の¥て/に/は、¥のだち/の¥おほき/なる/を¥もた/れ/たり。¥ひたち−ばう、¥たち¥なげ/させ¥たまへ/と¥まうせ/ば、¥くらんど¥おほき/に¥わらは/れ/けり。¥ひたち−ばう¥はしり−よつ/て¥むず/と¥きる。¥ちやうど¥あはせ/て¥をどり−のく。¥また¥よつ/て¥きる。¥ちやうど¥あはせ¥をどり−のく。¥より−あひ¥より−のき、¥ひととき/ばかり/ぞ¥たたかう/たる。¥くらんど¥うしろ/なる¥ぬりごめ/の¥うち/へ、¥しざり−いら/ん/と¥し¥たまへ/ば、¥ひたち−ばう、¥まさなう¥さうらふ。¥いら/せ¥たまひ¥さうらひ/そ/と¥まうせ/ば、¥ゆきいへ/も¥さ/こそ¥おもへ/とて、¥また¥をどり−いで/て¥たたかふ。¥ひたち−ばう¥たち/を¥すて/て¥むずと¥くん/で¥どうど¥ふす。¥うへ/に¥なり¥した/に¥なり¥ころび−あふ¥ところ/に、¥だいげんじ¥つつ/と¥いで−き/たり。¥あまり/に¥あわて/て¥はい/たる¥たち/を¥ぬか/で、¥いし/を¥にぎつ/て¥くらんど/の¥ひたひ/を¥はたと¥うつ/て¥うち−わる。¥くらんど¥おほき/に¥わらつ/て、¥おのれ/は¥げらふ/なれ/ば/こそ、¥たち¥なぎなた/で¥かたき/を/ば¥うた/で、¥つぶて/にて¥かたき¥うつ¥やう/や¥ある。¥ひたち−ばう¥あし/を¥ゆへ/と/ぞ¥げぢ−し/ける。¥ひたち−ばう/は¥かたき/が¥あし/を¥ゆへ/と¥まうし/ける/に、¥あまり/に¥あわて/て¥よつ/の¥あし/を/ぞ¥ゆう/たり/ける。¥その−のち¥くらんど/の¥くび/にP395¥
なは/を¥かけ/て¥からめ¥ひき−おこし/て¥おし−すゑ/たり。¥みづ¥まゐらせよ/と¥のたまへ/ば、¥ほしいひ/を¥あらう/て¥まゐらせ/たり。¥みづ/を/ば¥めし/て¥ほしいひ/を/ば¥めさ/ず、¥さし−おき¥たまへ/ば、¥ひたち−ばう¥とつ/て¥くう/てげり。¥わ−そう/は¥やまぼふし/か。¥やまぼふし/で¥さうらふ。¥たれ/と¥いふ/ぞ。¥さいたふ/の¥きただに−ぼふし¥ひたち−ばう−しやうめい/と¥まうす¥もの/で¥さうらふ。¥さて/は¥ゆきいへ/に¥つかは/れ/む/と¥いひ/し¥そう/か。¥さん−ざうらふ。¥よりとも/が¥つかひ/か、¥へいろく/が¥つかひ/か。¥かまくら=どの/の¥お=つかひ¥ざうらふ。¥まことに¥かまくら=どの/を/ば¥うち¥まゐらせ/ん/と¥おぼしめし¥さうらひ/しか。¥これ/ほど/の¥み/に¥なつ/て¥のち¥おもは/ざり/し/と¥いは/ば¥いか/に。¥おもひ/し/と¥いは/ば¥いか/に。¥てなみ/の¥ほど/は¥いかが¥おもひ/つる/と¥のたまへ/ば、¥さんじやう/にて¥おほく/の¥こと/に¥あう/て¥さうらふ/に、¥いまだ¥これ/ほど¥てごはき¥こと/に¥あひ¥さうらは/ず。¥よき¥かたき¥さんにん/に¥あひ/ける¥ここち/こそ¥し¥さうらひ/つれ/と¥まうす。¥さて¥しやうめい/を/ば¥いかが¥おぼしめさ/れ¥さうらひ/つる/と¥まうせ/ば、¥それ/は¥とら/れ/な/ん¥うへ/は/と/ぞ¥のたまひ/ける。¥その¥たち¥とり−よせよ/とて、¥み¥たまへ/ば、¥くらんど/の¥たち/は¥いつしよ/も¥きれ/ず、¥ひたち−ばう/の¥たち/は¥しじふ/に¥ところ¥きれ/たり/けり。¥やがて¥てんま¥たて/させ¥のせ/たてまつり¥のぼる/ほど/に、¥その¥よ/は¥えぐち/の−ちやうじや/が¥もと/に¥とまつ/て、¥よ/も−すがら¥つかひ/を¥はしらかす。¥あくる−ひ/の¥うま/の−こく/ばかり、¥ほうでう−へいろく¥その¥せい¥ひやくき/ばかり¥はた¥ささ/せ/て¥くだる/ほど/に、¥よど/の¥あかゐがはら/で¥ゆき−あう/たり。¥みやこ/へ/は¥いれ¥たてまつる/べから/ず/と/の¥ゐんぜん/で¥さうらふ。¥かまくら=どの/の¥ご=きそく/も¥その¥ぎ/で/こそ¥さうらへ。¥とうとう¥おん=くび/を¥たまはつ/て、¥かまくら=どの/の¥げんざん/に¥いれ/て¥ご=おん¥かうぶり¥たまへ/と¥いへ/ば、¥さら/ば/とて¥あかゐがはら/で¥じふらう−くらんど/の¥くび/を¥きる。¥しだの−さぶらう−せんじやう−よしのり/は、¥だいご/の−やま/に¥こもり/たる/の¥よし¥きこえ/しか/ば、¥おし−よせ/て¥さがせ/ども¥なし。¥いが/の¥かた/へ¥おち/ぬ/と¥きこえ/しか/ば、¥はつとり−へいろく/を¥さき/と/して、¥いがの−くに/へ¥はつかう−す。¥せんど/の−やまでら/に¥あり/と¥きこえ/し¥あひだ、¥おし−よせ/て¥とらへ/ん/と¥する/に、¥あはせ/の¥こ−そで/に¥おほくち/ばかり¥き/て、¥こがね/にて¥うち−くくん/だる¥こし/の¥かたな/にて¥はら¥かき−きつ/て/ぞ¥ふし/たり/ける。¥くび/を/ば¥はつとり−へいろく¥とつ/てげり。¥やがて¥もた/せ/て¥きやう/へ¥のぼり、¥ほうでう−へいろく/に¥みせ/たり/けれ/ば、¥やがて¥もた/せ/て¥くだり、¥かまくら=どの/の¥げんざん/に¥いれ/て、¥ご=おん¥かうぶり¥たまへ/と¥いひ/けれ/ば、¥ひたち−ばう¥はつとり、¥おのおの¥くび=ども¥もた/せ/て¥かまくら/へ¥くだり¥げんざん/に¥いれ/たり/けれ/ば、¥しんべう/なり/とて、¥ひたち−ばう/は¥かさゐ/へ¥ながさ/れ/けり。¥けんじやう/に¥かうぶら/ん/と/こそ¥おもひ/つる/に、¥さ/こそ¥なから/め、¥あまつさへ¥るざい/に¥しよせ/らるる/の¥でう¥ぞんぐわい/の¥しだい/なり。¥かかる/べし/と¥しつ/たら/ば、¥なに¥し/に¥しんみやう/を¥すて/けん/と¥こうくわい−すれ/ども¥かひ/ぞ¥なき。¥され/ども¥なか−にねん/と¥いふ/に¥めし−かへさ/れ、¥たいしやうぐん¥うつ/たる¥もの/は¥みやうが¥なけれ/ば¥いつたん¥いましめ/つる/ぞ/とて、¥たじまの−くに/に¥ただ/の−しやう、¥つの−くに/に¥はむろ¥にかしよ¥たまはつ/て¥かへり−のぼる。¥はつとり−へいろく¥へいけ/の¥しこう/の¥ひと/たり/しか/ば、¥もつくわん−せ/られ/たり/ける¥はつとり¥かへし¥たまはつ/てげり。¥

(9)補37 P396
巻十二の九 P348L6
こまつ=どの/の¥おん=こ¥たんごの−じじゆう−ただふさ/は、¥やしま/の¥いくさ/より¥おち/て¥ゆく−すゑ/も¥しら/ず¥おはせ/し/が、¥きの−くに/の¥ぢゆうにん、¥ゆあさ−ごん/の−かみ−むねしげ/を¥たのん/で、¥ゆあさ/の−じやう/に/ぞ¥こもら/れ/ける。¥これ/を¥きい/て、¥へいけ/に¥こころざし¥おもひ/ける¥ゑつちゆうの−じらう−びやうゑ、¥かづさの−ごらう−びやうゑ、¥あく−しち−びやうゑ、¥ひだの−しらう−びやうゑ¥いげ/の¥つはもの=ども¥つき¥たてまつる/の¥よし¥きこえ/しか/ば、¥いが¥いせ¥りやうごく/の¥ぢゆうにん=ら、¥われ/も¥われ/も/と¥はせ−あつまる。¥くつきやう/の¥もの=ども¥すひやくき¥たて−ごもつ/たる/の¥よし¥きこえ/しか/ば、¥くまの/の−べつたう、¥かまくら=どの/より¥おほせ/を¥かうむつ/て、¥りやう−さん−か−げつ/が¥あひだ、¥はちかど¥よせ/て¥せめ−たたかふ。¥じやう/の¥うち/の¥つはもの=ども¥いのち/を¥をしま/ず¥ふせぎ/けれ/ば、¥まいど/に¥みかた¥おひ−ちらさ/れ、¥くまの−ぼふし¥かず/を¥つくし/て¥うた/れ/に/けり。¥くまの/の−べつたう、¥かまくら=どの/へ¥ひきやく/を¥たてまつ/て、¥たうごく¥ゆあさ/の¥かつせん/の¥こと、¥りやう−さん−か−げつ/が¥あひだ/に¥はちかど¥よせ/て¥せめ−たたかふ。¥され/ども¥じやう/の¥うち/の¥つはもの=ども¥いのち/を¥をしま/ず¥ふせぐ¥あひだ、¥まいど/に¥みかた¥おひ−おとさ/る。¥かたき/を¥せたぐる/に¥およば/ず。¥きんごく¥にさん−が−こく/を/も¥たまはつ/て¥せめ−おとす/べき/の¥よし¥まうし/たり/けれ/ば、¥かまくら=どの、¥その¥でう、¥くに/の¥つひえ¥ひと/の¥わづらひ/なる/べし。¥たてこもる¥ところ/の¥きやうと/は¥さだめ/て¥うみやま/の¥ぬすびと/にて¥ある/らん。¥さんぞく¥かいぞく¥きびしう¥しゆご−し/て¥じやう/の¥くち/を¥かため/て¥まぼる/べし/と/ぞ¥のたまひ/ける。¥その¥ぢやう/に¥し/たり/けれ/ば、¥げに/も¥のち/に/は¥ひと¥いちにん/も¥なかり/けり。¥かまくら=どの/の¥はかりこと/に、¥こまつ=どの/の¥きんだち/の¥いちにん/も¥いき−のこり¥たまひ/たら/ん/を/ば¥たすけ¥たてまつる/べし。¥その¥ゆゑ/は¥いけの−ぜんに/の¥つかひ/と/して、¥よりとも/を¥るざい/に¥まうし−なだめ/られ/し/は、¥ひとへに¥かの¥だいふ/の¥はうおん/なり/と¥のたまひ/けれ/ば、¥たんごの−じじゆう¥ろくはら/へ¥いで/て¥なのら/れ/けり。¥やがて¥くわんとう/へ¥くだし¥たてまつる。¥すなはち¥かまくら=どの¥たいめん−し/て、¥みやこ/へ¥おん=のぼり¥さうらへ。¥かたほとり/に¥おもひ−あて¥まゐらする¥こと¥さうらふ/とて、¥すかし−のぼせ¥たてまつり、¥おつさま/に¥ひと/を¥のぼせ/て、¥せた/の−はし/の¥へん/にて¥きつ/てげり。¥こまつ=どの/の¥きんだち¥ろくにん/の¥ほか/に、¥とさの−かみ−むねざね/とて¥おはし/けり。¥さんざい/より¥おほいのみかど/の−うだいじん−つねむねの−きやう/の¥やうじ/にて、¥いしやう¥たにん/に¥なり、¥ぶげい/の¥みち/を/ば¥うち−すて/て、¥ぶんぴつ/を/のみ¥たしなん/で、¥ことし(/は)¥じふはち/に¥なり¥たまふ/を、¥かまくら=どの/より¥たづね/らるる¥こと/は¥さうらは/ね/ども、¥よ/に(¥はばかつ/て¥おひ−いださ/れ/たり/けれ/ば、¥せんど/を¥うしなひ、¥だいぶつ/の−ひじり、P397¥
しゆんじよう−ばう/の¥もと/に¥おはし/て、¥われ/は¥これ¥こまつの−だいふ/の¥すゑ/の¥こ/に、¥とさの−かみ−むねざね/と¥まうす¥もの/にて¥さうらふ。¥さんざい/より¥おほいのみかど/の−さだいじん−つねむね=こう¥やうじ/に/して、¥いしやう¥たにん/に¥なり、¥ぶげい/の¥みち/を¥うち−すて/て、¥ぶんぴつ/を/のみ¥たしなん/で、¥しやうねん¥じふはちさい/に¥まかり−なる。¥かまくら=どの/より¥たづね/らるる¥こと/は¥さうらは/ね/ども、¥よ/に−かくいちぼんにておぎなう)¥おそれ/て¥おひ−いださ/れ/て¥さうらふ。¥ひじり/の−ご=ばう、¥おん=でし/に¥せ/させ¥たまへ/とて、¥もとどり¥おし−きり¥たまひ/ぬ。¥それ/も¥なほ¥おそろしく¥おぼしめさ/ば、¥かまくら/へ¥まうし/て、¥げに/も¥つみ¥ふかかる/べく/は、¥いづく/へ/も¥つかはせ/と¥のたまひ/けれ/ば、¥ひじり¥いとほしく¥おもひ¥たてまつ/て、¥しゆつけ−せ/させ¥たてまつり、¥とうだいじ/の¥ゆさう/と¥いふ¥ところ/に¥しばらく¥おき¥たてまつり、¥くわんとう/へ¥この¥よし¥まうさ/れ/けり。¥いかさま/に/も¥げんざん−し/て/こそ¥と/も−かう/も¥はからは/め。¥まづ¥くだし¥たてまつれ/と¥のたまひ/けれ/ば、¥ひじり¥ちから¥およば/で¥くわんとう/へ¥くだし¥たてまつる。¥この¥ひと¥なら/を¥たち¥たまひ/し¥ひ/より/して、¥おん=じき/の¥みやうじ/を¥たつ/て、¥ゆみづ/を/も¥のど/へ¥いれ/ず、¥あしがら¥こえ/て¥せきもと/と¥いふ¥ところ/にて¥つひに¥うせ¥たまひ/ぬ。¥いか/に/も¥かなふ/まじき¥みち/なれ/ば/とて、¥おもひ−きら/るる/こそ¥おそろしけれ。¥さる−ほど/に¥けんきう−ぐわんねん−じふいちぐわつ−なぬかのひ¥かまくら=どの¥しやうらく−し/て、¥おなじき−ここのかのひ、¥じやう−にゐ−だいなごん/に¥なり¥たまふ。¥おなじき−じふいちにち、¥だいなごん/の−うだいしやう/を¥けんじ¥たまへ/り。¥やがて¥りやうしよく/を¥じし/て、¥じふにぐわつ−よつかのひ¥くわんとう/へ¥げかう。¥けんきう−さんねん−さんぐわつ−じふさんにち、¥ほふわう¥ほうぎよ、¥おん=とし¥ろくじふろく、¥ゆが−しんれい/の¥ひびき/は¥その¥よ/を¥かぎり、¥いちじよう−あんじゆ/の¥み=こゑ/は¥その¥あかつき/に¥をはり/ぬ。¥おなじき−ろくねん−さんぐわつ−じふさんにち、¥だいぶつ−くやう¥ある/べし/とて、¥にぐわつ−ちゆうじゆん/に¥かまくら=どの(¥ご=)しやうらく¥あり。¥おなじき−じふににち、¥だいぶつでん/へ¥まゐらせ¥たまひ/たり/ける/が、¥かぢはら/を¥めし/て、¥てがい/の−もん/の¥みなみ/の¥かた/に¥だいしゆ¥なんじふにん/を¥へだて/て、¥あやしばう/たる¥もの/の¥みえ/つる、¥めし−とつ/て¥まゐらせよ/と¥のたまひ/けれ/ば、¥かじはら¥うけたまはつ/て¥やがて¥めし−ぐし/て¥まゐり/たり。¥ひげ/を/ば¥そつ/て¥もとどり/を/ば¥きら/ざる¥をとこ/なり。¥なにもの/ぞ/と¥のたまへ/ば、¥これ/ほど¥うんめい¥つき−はて¥さうらひ/ぬる¥うへ/は、¥とかう¥まうす/に¥およば/ず。¥これ/は¥へいけ/の¥さぶらひ、¥さつまの−なかづかさ−いへすけ/と¥まうす¥もの/にて¥さうらふ。¥それ/は¥なに/と¥おもひ/て¥かく/は¥なつ/たる/ぞ。¥もしや/と¥ねらひ¥まうし/つる/なり。¥こころざし/の¥ほど¥ゆゆしかり/けり/とて、¥くやう¥はて/て¥みやこ/へ¥いら/せ¥たまひ/て、¥ろくでうかはら/にて¥きら/れ/に/けり。¥へいけ/の¥しそん/は¥さんぬる¥ぶんぢ−ぐわんねん/の¥ふゆ/の¥ころ、¥ひとつご¥ふたつご/を¥のこさ/ず、¥はら/の¥うち/を¥あけ/て¥み/ず/と¥いふ/ばかり/に¥たづね−とつ/て¥うしなひ/て/き。¥いま/は¥いちにん/も¥あら/じ/と¥おもひ/し/に、¥しん−ぢゆうなごん/の¥すゑ/の¥こ/に、¥いがの−たいふ−ともただ/とて¥おはし/き。¥へいけ¥みやこ/を¥おち/し¥とき、¥さんざい/にて¥すて−おか/れ/たり/し/を、¥めのと/の¥きの−じらう−びやうゑ−ためのり¥やしなひ¥たてまつ/て、¥ここ−かしこ/に¥かくれ−ありき/ける/が、¥びんごの−くに¥おほた/と¥いふ¥ところ/に¥しのび/つつ¥ゐ/たり/けり。¥やうやう¥せいじん−し¥たまへ/ば、¥ぐんがう/の¥しゆご¥ぢとう¥あやしみ/ける/ほど/に、¥みやこ/へ¥のぼり、¥ほふしやうじ/の¥いちのはし/なる¥ところ/に¥しのん/で¥おはし/けり。¥ここ/は¥そぶ¥にふだう−しやうこく、¥しぜん/の¥こと¥あら/ん¥とき¥じやうくわく/に/も¥せ/ん/とて、¥ほり/を¥ふたへ/にP398¥
ほつ/て、¥しはう/に¥たけ/を¥うゑ/られ/たり。¥さかもぎ¥ひい/て¥ひる/は¥ひと¥おと/も¥せ/ず、¥よる/に¥なれ/ば、¥じんじやう/なる¥ともがら¥おほく¥あつまつ/て、¥し/を¥つくり¥うた/を¥よみ¥くわんげん/なんど¥し/て¥あそび/ける/ほど/に、¥なに/と/して/か¥もれ−きこえ/たり/けん。¥その−ころ¥ひと/の¥おそれ/て¥おそれ/ける/は、¥いちでうの−にゐの−にふだう−よしやす/と¥いふ¥ひと/なり。¥その¥さぶらひ/に¥ごとう−びやうゑ−もときよ/が¥こ/に、¥しん−びやうゑ−もとつな、¥いちのはし/に¥ゐちよく/の¥もの¥あり/と¥きき−いだし/て、¥けんきう−しちねん−じふぐわつ−なぬかのひ¥たつ/の−いつてん/に、¥その¥せい¥ひやくしごじつき、¥いちのはし/へ¥はせ−むかひ、¥をめき−さけん/で¥せめ−たたかふ。¥じやう/の¥うち/に/も¥さんじふ−よ−にん¥あり/ける¥もの=ども、¥おほ−かたぬぎ/に¥かたぬい/で、¥たけ/の¥かげ/より¥さしつめ−ひきつめ¥さんざん/に¥い/けれ/ば、¥むま¥ひと¥おほく¥い−ころさ/れ/て、¥おもて/を¥むく/べき¥やう/も¥なし。¥さる−ほど/に¥いちのはし/に¥ゐちよく/の¥もの¥あり/と¥きき−つたへ/て、¥ざいきやう/の¥ぶし=ども¥われ/も¥われ/も/と¥はせ−つどふ。¥ほど−なく¥いちにせんぎ/に¥なり/しか/ば、¥きんぺん/の¥こいへ/を¥こぼち−よせ¥ほり/を¥うづめ、¥をめき−さけん/で¥せめ−いり/けり。¥じやう/の¥うち/の¥つはもの=ども、¥うちもの¥ぬい/て¥はしり−いで、¥あるいは¥うちじに−する¥もの/も¥あり、¥あるいは¥いたで¥おう/て¥じがい−する¥もの/も¥あり。¥いがの−たいふ−ともただ/は、¥しやうねん¥じふろくさい/に¥なら/れ/ける/が、¥いたで¥おう/て¥じがい−し¥たまひ/たる/を、¥めのと/の¥きいの−じらう−びやうゑ−にふだう¥ひざ/の¥うへ/に¥かき−のせ、¥なみだ/を¥はらはら/と¥ながい/て、¥かうしやう/に¥じふねん¥となへ/つつ、¥はら¥かき−きつ/て/ぞ¥しに/に/ける。¥その¥こ/の¥ひやうゑ−たらう、¥ひやうゑ−じらう¥とも/に¥うちじに−し/てんげり。¥じやう/の¥うち/に¥さんじふ−よ−にん¥あり/ける¥もの=ども、¥たいりやく¥うちじに¥じがい−し/て、¥たち/に/は¥ひ/を¥かけ/たり/ける/を、¥ぶし=ども¥はせ−いつ/て、¥てんで/に¥うち/ける¥くび=ども、¥たち¥なぎなた/の¥さき/に¥つらぬき、¥にゐの−にふだう=どの/へ¥はせ−まゐる。¥いちでう/の−おほち/へ¥くるま¥やり−いだし/て¥じつけん−せ/らる。¥きいの−じらう−びやうゑ−にふだう/の¥くび/を/ば¥み−しつ/たる¥もの/も¥せうせう¥あり。¥いがの−たいふ/の¥くび、¥ひと¥いかで/か¥み−しり¥たてまつる/べき。¥この¥ひと/の¥ははうへ/は、¥ぢぶきやう/の−つぼね/とて、¥はつでう/の−にようゐん/に¥さうらは/れ/ける/を、¥むかへ−よせ¥たてまつ/て¥みせ¥たてまつり¥たまふ。¥さんざい/と¥まうし/し¥とき、¥こ=ちゆうなごん/に¥ぐせ/られ/て、¥さいこく/へ¥くだり/し¥のち/は、¥いき/たり/と/も¥しん/だり/と/も、¥その¥ゆくへ/を¥しら/ず。¥ただし¥こ=ちゆうなごん/の¥おもひ−いづる¥ところどころ/の¥ある¥さま/に/こそ/とて¥なか/れ/ける(/に)/こそ、¥いがの−たいふ/の¥くび/と/も¥しつ/てんげり。¥へいけ/の¥さぶらひ¥ゑつちゆうの−じらう−びやうゑ−もりつぎ/は、¥たじまの−くに/へ¥おち−ゆき/て、¥けひの−しらう−だうこう/が¥むこ/に¥なつ/て/ぞ¥ゐ/たり/ける。¥だうこう¥ゑつちゆうの−じらう−びやうゑ/と/は¥しら/ざり/けり。¥され/ども¥きり¥ふくろ/に¥たまら/ぬ¥ふぜい/にて、¥よる/に¥なれ/ば、¥しうと/が¥むま¥ひき−いだい/て¥はせ−ひき−し/たり。¥うみ/の¥そこ¥じふしごちやう/に¥じつちやう¥くぐり/など¥し/けれ/ば、¥ぢとう¥しゆご¥あやしみ/ける/ほど/に、¥なに/と/して/か¥もれ−きこえ/たり/けん、¥かまくら=どの¥み=げうしよ/を¥くださ/れ/けり。¥たじまの−くに/の¥ぢゆうにん、¥あさくらの−たらう−たいふ−たかきよ、¥へいけ/の¥さぶらひ¥ゑつちゆうの−じらう−びやうゑ−もりつぎ、¥たうごく/に¥ぢゆうきよ/の¥よし¥きこしめす。¥めし−まゐらせよ/と¥おほせ−くださ/る。¥けひの−しらう/は¥あさくらの−たいふ/が¥むこ/なり/けれ/ば、¥よび−よせ/て、¥いかが−し/て/か¥からめ/んずる/と¥ぎする/に、¥ゆや/にて¥からむ/べき/とて、¥ゆ/にP399¥
いれ/て、¥したたか/なる¥もの¥ごろくにん¥おり−あはせ/て、¥からめ/ん/と¥する/に、¥とり−つけ/ば¥なげ−たふさ/れ、¥おき−あがれ/ば¥け−たふさ/る。¥たがひに¥み/は¥ぬれ/たり、¥とり/も¥ため/ず。¥され/ども¥しゆりき/に¥がうりき¥かなは/ぬ¥こと/なれ/ば、¥にさんじふにん¥ばつと¥よつ/て、¥たち/の¥みね¥なぎなた/の¥え/にて¥うち−なやまし/て、¥からめ−とり、¥やがて¥くわんとう/へ¥まゐらせ/たり/けれ/ば、¥おん=まへ/に¥ひつ−すゑ/させ/て、¥こと/の¥しさい/を¥めし−とは/る。¥いか/に¥なんぢ/は¥おなじ¥へいけ/の¥さぶらひ/と¥いひ/ながら、¥こしん/にて¥あん/なる/に、¥なに/とて¥しな/ざり/ける/ぞ/と¥おほせ/けれ/ば、¥それ/は¥あまり/に¥へいけ/の¥もろく¥ほろび/て¥ましまし¥さうらふ¥あひだ、¥もしや/と¥ねらひ¥まゐらせ¥さうらひ/つる/なり。¥たち/の¥み/の¥よき/を/も、¥そや/の¥しり/の¥かね−よき/を/も、¥かまくら=どの/の¥おん=ため/と/こそ¥こしらへ¥もつて¥さうらひ/つれ/ども、¥これ/ほど/に¥うんめい¥つき−はて¥さうらひ/ぬる¥うへ/は、¥とかう¥まうす/に¥およば/ず/と¥まうし/けれ/ば、¥かまくら=どの、¥こころざし/の¥ほど/は¥ゆゆしかり/けり。¥よりとも/を¥たのま/ば、¥たすけ/て¥つかは/ん/は¥いか/に/と¥おほせ/けれ/ば、¥ゆうじ¥じしゆ/に¥つかへ/ず、¥もりつぎ/ほど/の¥もの/に¥おん=こころ¥ゆるし¥たまひ/て/は、¥かならず¥ご=こうくわい¥さうらふ/べし。¥ただ¥ご=おん/に/は¥とくとく¥くび/を¥めさ/れ¥さうらへ/と¥まうし/けれ/ば、¥さら/ば¥きれ/とて、¥ゆゐ/の−はま/に¥ひき−いだい/て¥きり/に/けり。¥ほめ/ぬ¥もの/こそ¥なかりけれ。¥