絵入歌集
竹久夢二
玉勝間あはむといふは誰なるか逢へる時さへおもかくしせず。
白き手をわれにあづけて泣くひとのあはれや肩のこの細りやう。
病みあがり吉弥がひとり河岸にいで河原蓬にみいるあはれさ。
ぬばたまのいもが黒髪こよひかもわれなき床になびけてやぬらむ。
プロペラの音をきゝつゝ思ひけりなべて男はいさましきかな。
あしびきの山の雫に妹まつとわれたちぬれぬ山の雫に。
加茂川に都踊のともし灯のうつらふ頃ぞきみはもかなし。
ぬぎすてし小袖のごとくうちしほれ泣きゐるきみにせまるたそがれ。
辻棲のあはぬ話もおもしろやかのきぬ/゛\のうその涙も。
朝寝髪われは梳らじうつくしききみが手枕ふれてしものを。
みじとして顔ふたぎたる指間より黒き眼みゆれ偽りそ君。
竹久夢二文学館
第7巻
歌集
万田務監修
1993年12月15日 初版第1刷発行
発行者 高野義夫
発行所 日本図書センター
〒112 東京都文京区大塚3-4-13 電話03-3947-9387
制作 オフィスコヤマ
装幀 成田克彦
印刷・製本 亜細亜印刷/関製本
定価3,800円(本体3,690円)
ISBN4-8205-9278-5 C0391 P3800E(第7巻)
ISBN4-8205-9271-5 C0391 P38000E(セット)